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2016年度「基礎演習B」奨励賞について

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[ 編集者:社会学部・社会学研究科   2017年1月11日 更新  ]

「基礎演習B」奨励賞について

 「基礎演習B」においては、受講者全員がグループを組んで研究発表のポスターを作成し、それぞれのクラス内での発表・投票を経て、クラス代表グループによる「全体発表会」を行っています。全体発表会の目的は、他のクラスの代表グループの発表を観覧することで、より高いレベルで今後の研究を進めていくための参考にすることです。
 基礎演習Bは、すべての社会学部生が身につけるべき基礎的なスキルを習得する科目ですので、すべての発表に対して優劣をつけるものではありません。しかしながら、受講生のみなさんが今後、社会学部で研究を進めていくにあたって参考となるような発表について、特に広く周知することを目的に、全体発表会にて発表を行ったもののうち2本について、「奨励賞」を出すことにしています。
 奨励賞はあくまで、基礎演習Bの受講生のみなさんが研究を進める上で参考になる発表に贈られるものです。以下の教員コメントも含め、発表された内容を各自で確認しておいてください。

奨励賞 11クラス代表 発表タイトル「LGBTの支援は誰のため?」

受賞者(石井 紅葉、枝川 友奈、砺波 真也、西川 春香、日置 美咲)
表彰


教員コメント

 「LGBTの支援は誰のため?」は、近年、日本でも一部自治体で広がる「パートナーシップ条例」のような、性的マイノリティへの法的・制度的な支援対象に、当事者による権利主張運動の歴史や権利獲得の状況の国際比較などを行い、それが行政にとってのメリットでしかないのではないかと問題提起をしている。すなわち、地域の経済発展やブランド向上が目的となった動きではないかというのだ。
 いくつもの論点が立てられる上に、賛否を問うための基準もなかなか定まらない問題に対して、「政策」という観点から、それが政策を実施する側にとってのメリットになっている点を問うという形で立脚点を定めてアプローチすることで問題点の所在を明らかにするのは、今後どのような研究を進めていくにしても必ず必要になるプロセスであり、研究への入口として評価できるものであると言える。また、つい「認めてあげればいいのに」といった風に、非当事者が情緒的に判断しがちな問題に対して、国際比較を含めてデータに基づく現状判断を行おうとする姿勢も評価に値する。
 今後の課題としては、問題の「深み」を増していくことがあると思われる。実際に性的マイノリティの支援制度が地域にとってメリットになるものなのか、他の国や地域における取り組みは、ほんとうに行政にとっての経済的メリットだけを目的に行われているものなのかといったより広い事実確認であるとか、同性結婚が認められることに対して実際の当事者がどのように考えているのかといったことを調査した上で、「では、どのような制度が必要なのか」といったことまで考えられるようになれば、研究としての意義が深まるのではないだろうか。

奨励賞 18クラス代表 発表タイトル「見えていない日常の落とし穴」

受賞者(飯田 ひかり、竹株 咲輝、建石 紗和子、保壽 阿季)
表彰


教員コメント

 「見えていない日常の落とし穴 ―なぜマナー問題は社会に存在し続けるのか―」は、マナーが改善しているにも関わらず、その結果として人々が要求するマナーの水準が上がるために、マナー問題が存在し続けるという皮肉な現象の存在を示した研究である。
 「なぜマナー問題は社会に存在し続けるのか」というリサーチ・クエスチョンに対して、「マナー(として求められるもの)が時代とともに変化するから」という仮説を立て、文献や統計資料を元に検証を行うという研究としての形式が整っている点は、発表者たちが一年間基礎演習にしっかりと取り組んだことを示す証拠である。マナー違反を犯す人々や軽微なマナー違反を非難する人々を単純に断罪するのではなく、一歩引いた視点から、マナー問題の存続を、良かれと思っての行動が招く陥穽として捉えることができたのは、研究の型を修得したがゆえといえよう。
 今後のために注文を付ければ、本発表は、マナーの定義、携帯の普及、大学生のマナー意識といったさまざまな情報が調べられているものの、仮説検証と直接関係する情報とそうでない情報が混在しているように思う。集めた情報はすべて載せたくなるものだが、発表内容を受け手に伝える上で、情報を取捨選択し明確なストーリーに沿って提示することが重要である。これは、卒業論文などでも求められることであり、演習などの授業を通じて身に着けていって欲しい。

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