PICK UP! 法学部生 米田奈央さん

[  2017年7月20日   更新  ]

「伝えるためにできること」

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【名  前】米田 奈央
【出身高校】武庫川女子高等学校
【活動内容】国連ユースボランティア制度を利用し、インドネシアのUNV(国連ボランティア計  
      画)にて5ヵ月間広報官として活動。
【所属団体】学内:ALSA(The Aisan Law Students' Association), 国連外交サークル
      学外:国連フォーラム関西、兵庫ユニセフ協会

国連プログラムへの思いから、受験を決意

Q.なぜ法学部へ?

高校生1年生の時にある政治哲学の本を読んで以来、政治や法律は私たちが生きている「社会」のしくみや「規則」など、実生活を直接形作っていることを知り、面白いと思うようになりました。
 また、当時より国際交流やボランティアに強い関心があった私は、関学が掲げている国連プログラムに参加したいと強く思うようになり、関学法学部・政治学科への受験を決心しました。

Q.入学後に打ち込んだ活動を教えてください。

私は、2年生のとき5か月間、国連ユースボランティア制度を利用し、インドネシアの「国連ボランティア計画(UNV)」という機関に派遣されました。
 UNVは、ボランティアの動員や、ボランティアリズムの推進を全世界に向けて行っている国連機関です。各地での平和構築と途上国の開発支援を目標に、ボランティア活動の促進や参加の呼びかけを行っています。
 派遣中は、広報官としてさまざまな媒体を用いたUNVについての広報や、イベントの運営などを行いました。

上・左下:UNDP開催の若者向けのイベントにて/右下:国際エイズデーのイベントにて

伝えることで状況が変わる

Q.やりがいや面白さは何ですか?

ハラスメントを受けたとき

ジョグジャカルタにて開催された、国際ボランティアデーの風景。

各分野のプロフェッショナルが集う国際的な機関で、大学生でありながら「広報官」として組織の情報を発信・アピールする役割が与えられたことは非常に大きな経験になりました。
 私が派遣されたインドネシアでは、UNVの活動はほとんど知られていませんでした。そこでまずは、定期的なニュースレターの発行、UNVインドネシアの紹介パンフレット作成、ウェブサイト立ち上げ、SNSの運営などを行い、一般の方々へ情報発信する手段(基盤)を築くことから始めました。初めは、情報が思うように人々に届かず苦戦しました。しかし、経験豊富なメンバーからの助言をもとに運営方針を改めたところ、次第に流れに乗りだし、多くの方にUNVの存在を知ってもらうことができました。認知度が上がった結果として、新しいイベントの開催や共催の相談が外部から来たときには広報官として、「伝える」ことが、「状況を変える力」に繋がることを実感しました。    
 また、SNSを運営するなかで、一方的に発信するだけでなく、閲覧者の疑問やニーズに応えてコミュニケーションを図り、受け手側を常に考えることを意識するようになりました。

Q.広報官として苦労したことはありますか?

ハラスメントを受けたとき

職場での作業風景。上司に提案し、話し合いを経ながらようやく1つの資料が完成する

現地のNGO団体の方と初めてミーティングを行った時のことです。相手は今まで触れてきた英語とはまるで違う、現地訛りのイントネーションで英語を話すため、会議の主導権を握ることはおろか伝えたいことが伝わりませんでした。会議は5時間も延び、翻弄されたまま終了し、悔しかったことを覚えています。
 なんとかミーティングをスムーズに進行させることはできないか、改善できる点は無かったかと模索し、次の会議には要点をまとめた議題書を作成して臨むことにしました。会議はスムーズに進行し、すべての議題を話し合い終えた時、伝えたいことが相手に「伝わった」ことへの達成感を感じました。小さな工夫や準備が如何に大切であるか、身を持って気付きました。

活動を終えて

自分の未熟さを受け入れること、周りのアドバイス・意見に耳を傾けること、工夫や下準備を前もって行う姿勢などを学びました。

 広報官は、現地の課題を直接解決する特定の活動(例えば植林活動や教育活動など)に参加するわけではありませんが、現地の課題や開発支援、ボランティアの様子についてより多くの方々に知ってもらうことで、それまで関心の高くなかった人々に、協力を促すことができます。「広報」が担っているこの草の根活動と働きかけは、現在の国際協力において非常に重要な役割であることを実感し、帰国後もこの貴重な経験を、後輩や高校生に伝えていきたいと考えています。

 また、他国で日常生活を送ることで、その国で暮らす人々の普段の表情に触れられたことはとても貴重な経験でした。インドネシアの人々は、礼儀正しくシャイな方が多いのですが、バスなどで席が空くと必ず「座れるよ」と自分を呼んでくれるような暖かさ、気さくさが、日常の中に溢れていました。日本とはまた違った、その国ならではの「優しさ」を今でも懐かしく思い出します。

 

企画に携わった国際ボランティアデーイベントでの写真。

また、私は大学2年生の時に大きな怪我を負ってしまいました。スポーツ人生で初めての経験であり、歩く事もままならず復帰の目途もつかない中、当初は無力感に苛まれていました。しかし、怪我をして一歩引いた目でチームを見たとき、組織にはさまざまな役割や立場、目的を持った人がいて、それぞれが必要な役割を果たして、初めて組織として機能していることに気づきました。選手としての活動に強く拘っていた私にとっては目から鱗が落ちるようで、それ以来、組織内における一人一人の役割や立場を考えながら、普段の活動やチーム運営を行うようになりました。今となっては当たり前のことなのですが、スポーツでの挫折を通して、「相手の立場に立って考える力」が身につき、自分にとってとても貴重な経験になったと感じています。
 

時間は作るもの。世界に踏み出すチャンスに、チャレンジしてほしい。

Q.打ち込んでいる活動と勉学を両立させる秘訣はありますか?

学部での勉強と、自分個人の目標の共通項を見つけ連携させることとだと思います。
また、「時間をつくる力」をつけて、忙しくてもチャレンジすることが大切だと思います。

法学部の後輩、法学部を目指す高校生たちへ一言

 法学部では、2人以上の人が生きる上で必要な規則や社会の仕組み等、実生活で「使える」知識を学ぶことができます。将来必ず役に立つので少し難しくても勉強する価値があります。
 そして、関学は「世界」に踏み出して活躍するチャンスが多くあるので、是非みなさんも「時間をつくる力」を身に付け、法学部の実用的な学びに加えてさまざまなことにチャレンジしてください。

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