授業内容(学部の授業紹介)【人間福祉学部】

[ 編集者:人間福祉学部・人間福祉研究科       2021年9月9日   更新  ]

   
    


授業の一部をご紹介します。
掲載している以外の科目については、シラバスをご覧ください(学生の方以外もご利用いただけます)。

シラバス(授業実施要綱)別ウィンドウで表示

社会福祉学科

   

■ソーシャルワーク演習Ⅰ

自分への気づきを深める実践的な体験学習プログラム。

   
   
SW
 

ラボラトリー方式の体験学習プログラムにより、人間関係における様々なかかわりを体験し、一人ひとりの自己理解、対人感受性、基本的な対人コミュニケーション技術を習得し、専門職アイデンティティの形成に向けた価値の明確化を促すと共に、まさに体験学習である実習教育に向けて体験的に学ぶことの意味と方法を理解します。

     

■福祉社会演習

一般社会における対人関係のスキルや情報取集スキルを身に付ける。

   
   
福祉社会演習

この演習では、福祉分野における具体的援助の方法や内容等を中心に基本的な対人援助技術として、面接の方法、調査やアセスメント、価値や倫理、福祉制度や様々な資料の収集、機関の連携などについて学びます。個人やグループで学習したことの発表をとおして譲歩発信についても学習します。

     

■危機とトラウマケア

近年注目されているトラウマケアの基本を学ぶ。

「9.11」同時多発テロや「3.11」東日本大震災などを通して、近年トラウマの概念が社会全般に広がり、危機や惨事に遭遇した人たちへの関心とケアの必要性が実感として認識されるようになりました。ソーシャルワーク実践においてどのような知識、スキル、態度が必要とされるのか。この授業では「こころ」、「からだ」、「家族」、「コミュニティー」、「スピリチュアリティ(信仰精神性)」の多角的側面から考察を加えます。

社会起業学科

■NGO論

地球社会が直面する問題をどう解決するか。

国際的な問題に関わるNGOに焦点を合わせ、「貧困」「環境」「人権」など地球社会が直面する問題を解決するために市民が何をできるのかを考え、解決のための計画づくりができる力を身につけていきます。

■多文化共生論Ⅰ

社会的に不利なコミュニティを理解し、社会起業のための視点や価値観を考える。

多文化共生論Ⅰ

この授業では、社会起業のための基本的な視点や価値観を考えます。また、実際に世界各地で社会起業を行っている人をゲストスピーカーに招いて話を聞き、早い段階から社会起業の具体的なイメージを持ち、今後の学びに繋げていきます。

■社会問題演習

様々な社会問題を自分の頭で理解し語る。

社会問題演習

個人的な理由で社会に発生する不平等や差別が社会構造から生まれる結果として存在することを理解し、社会的な視点を身につけることが目標となる。可能なかぎり自分の生活と結びつけて自分の言葉で社会問題を語れるように学習します。

■社会起業コミュニケーション演習【2021年度新規開講】

自分も他者も尊重し、よりよい対人関係を築く。

他者との関係を築く上で欠かすことができないコミュニケーションの基本を学び、自分を尊重し、他者を尊重するコミュニケーション方法を身につけます。

「社会起業コミュニケーション演習」を詳しく見る

毎回の授業では、アイスブレイクをした後に、各回のテーマに沿ったワークに取り組みます。例えば、他己紹介ワーク、対人関係地図の作成、絵本の読み聞かせ、面接ロールプレイ等。ワークを通して感じたことは、シートに書き込み、履修者で共有します。

7月上旬に開講された授業でも、アイスブレイクから始まりました。まずは、教室内で大きな円を作り外側を向きます。1から順に番号を言っていきますが、与えられる機会は一人1回、1つの数字のみです。発言が重なったり、沈黙が続けば、そこで終了。お互いの顔も見えない状況では、なかなか続きません。今度は、内側を向きお互いの顔を見ながらの挑戦。それでも、発言が重なりどうしても続きません。担当教員の澤田准教授より、どうすれば続くかアイデアを出し合うよう声がかかると、履修者から次々に「発言したら手をあげる」「次の発言者へアイコンタクトをする」「発言したらその場に腰をおろす」等提案がありました。仕切り直して挑戦すると…、5回目で成功。自然と拍手が沸き起こりました。

いよいよ、当日のワーク、ブラインドウォークへ。一人に1枚バンダナが配付され、二人組になります。片方がバンダナで目隠しをして、もう片方が声を出して安全に誘導します。ルートは、授業が行われたG号館3階から階段を通っていったん屋外へ出て、再び階段で教室まで戻ってくるという難コース。教室に戻ってきたら、役割を交代し、同様に行います。声をかけながらゆっくりと歩を進めていきますが、階段の昇り降りはどの組も苦戦の連続。無事に教室まで戻ったら、ほっとした表情に変わっていたのが印象的でした。各自で感想シートへの記入が終わると、「慣れている学内だったので想像で歩けた部分もあるが、これが初めての場所ならもっと大変だったと思う」「今回は気心の知れた友達がサポートしてくれたが、初対面の方だったらと思うと不安で一杯だっただろう。相手の立場に立って、伝える言葉の一つひとつが大切だと痛切に感じた。」「自動ドアが閉まらないようにしてくれたり、階段の手すりや進路を塞ぐものの情報を伝えてくれたりしてうれしかった」等、体験を通して得られた気づきを共有しました。

宇津原龍平さん

履修者の宇津原龍平さん(社会起業学科3年)は、新型コロナウイルス感染対策で昨年はオンラインの授業が続いた中、対面の演習中心で行われるのに魅力を感じ履修したとのこと。授業の始めに、澤田准教授から「話上手な人は聞き上手な人」と教わり、自分自身も相談される人になりたいと思い、ワークに取り組んできました。あいづちや表情、聞き方などのノンバーバル・コミュニケーションの大切さを知り、早速、出身高校でのクラブ活動の指導の際に活かしているそうです。

宮内萌々子さん

これまでにコミュニケーションスキルについて学ぶ機会がなかったという宮内萌々子さん(社会起業学科3年)は、社会起業学科にはSDGsやジェンダーについて熱く語る仲間が多いので、この科目の履修を楽しみにしていました。絵本を読み聞かせるワークでは、各自が好きな絵本を持ち寄り、グループで読み聞かせを行いました。同じ絵本でも、好きだと感じる人もいれば、興味が沸かない人もいて、感受性によりそれぞれ受け止め方が異なることを知りました。人との関わりは今後の学生生活でも、卒業して社会人になっても、この先ずっと続きます。ここで学んだことは、今後の対人関係構築に役立てていきたいと力強く語ってくれました。

この授業はワークを行う上で参加者がお互いに安心して話し合える場をつくることが重要で、アイスブレイクをはじめ、学生がいつも協力的にワークに取り組んでくれたことや、一緒に楽しみながら学びの空間を作ってくれたことが印象的だったと話す、担当の澤田准教授。今後のインターンシップや社会において、多様な人びとと出会い、信頼関係を築く上で、ここでの学びを活かしてもらいたいと期待しているそうです。

※学生の学年表記は取材当時のものです。
※取材・撮影は新型コロナウイルス感染対策を行いながら実施しています。

人間科学科

■体育心理学

人間行動の理解から、人間や社会を観照する能力を向上させる

幅広く運動やスポーツの領域において発現される人間の心理について様々なテーマから解説します。単に運動やスポーツに関することだけでなく、人間を理解するうえで本学問が持っている有益さや面白さを学び、さまざまな教育・指導現場への応用力を身に付けます。

■死生学

自分自身の死生観に向き合い、有限である生をいかに生きるかを問う。

死生学

よく死ぬことはよく生きることといわれるように、死は否定すべきものではなく、むしろ受け入れることで積極的な生が全うされます。この授業は、死生観の自己覚知、死にゆく人やその過程についての理論モデル、社会や文化の死の捉え方、死にゆく人のケアや遺された人へのケア、そして Death Education について学びます。

■悲嘆学

喪失と悲嘆に関する知識を習得し、深い悲しみの中にある人々へ寄り添う。

悲嘆学

死別による悲嘆(grief)を中心に、通常の悲嘆と複雑性悲嘆、悲嘆のプロセスやその影響因子、文化的特性などについて概説します。また、人生の避けられない局面である喪失と悲嘆の学びを通して、深い悲しみの中にある人々への理解を深めるとともに、自らの死生観や価値観を涵養します。

3学科共通専門教育科目

人間福祉学部では、社会福祉学科、社会起業学科、そして人間科学科のどの学科でどのような専門的知識や技能を学ぶにあたっても、学生が共通して「3つのC」(※)を身につけることをめざしています。特に「3つのC」の獲得の土台なる科目を「3学科共通専門教育科目」として2020年度より開講し、目的意識を持った学際的な学びを推進しています。
※3つのCとは、豊かな「人への思いやり(compassion)」、柔軟で包括的な「幅広い視野(comprehensiveness)」、そしてさまざまな社会福祉学的あるいは健康科学的な課題に対してソリューションを導き出す「高度な問題解決能力(competence)」のことです。

 

■人間福祉グローバル演習E

コロンビアでの現地学修をとおして、福祉を考える視点を広げる

悲嘆学

市民の健康増進や住みやすい街づくりを目指した、発展途上国コロンビアならではの多種多様で革新的な取り組みが進行している現状を視察します。アンティオキア大学の教員や学生たち、コロンビアで社会的活動を行っている人々との交流を通して、福祉・社会・文化・歴史を幅広く学ぶことを目的としています。

「人間福祉グローバル演習E」募集要項・体験談へ

「人間福祉グローバル演習E」国際・教育連携機構(CIEC)の紹介ページへ

 

■人間福祉海外フィールドスタディⅠ【2021年度新規開講】

海外での実習に備え、基礎知識を身につけ、具体的イメージを描く

海外でフィールドスタディを行うための基礎知識を身につけます。また、その国の人口や社会情勢、経済状況、教育環境などについてリサーチし、クラス内で発表を行い、フィールドスタディの具体的なイメージを描きます。

「人間福祉海外フィールドスタディ」を詳しく見る

『人間福祉海外フィールドスタディ』は、2021年度にⅠ・Ⅱが、2022年度にⅢがそれぞれ開講の新設科目です。Ⅱを履修するにはⅠを、Ⅲを履修するにはⅡの単位を修得する必要のあるプログラム。プログラム最終のⅢでは、海外の様々な社会的課題に取り組む機関や、体育・スポーツ関連組織(社会的企業、NPO、NGO、国際機関、福祉機関、市民団体、ボランティア団体など)において200時間以上の実習を行います。
2021年度開講の「人間福祉海外フィールドスタディⅠ」は溝畑潤教授と森重裕子助教の2名で担当。全14回の授業を第1期(第1~4回)、第2期(第5~10回)、そして第3期(第11~14回)の3期に分けて実施しました。
第1期は、「人間福祉国内フィールドスタディⅠ」の履修者との合同授業形式で、フィールドスタディに関する基礎的な理解を深めました。 続く第2期では、ルワンダ、ネパール、ニュージーランド、フィリピン、オーストラリアの現地在住で、Ⅱのスーパーバイザーを担って下さる方をゲストスピーカーにお招きして(zoomによる同時双方向型)、各国の現状についてご指導いただきました。 そして第3期は、Ⅱで必要となるCV(英語の履歴書)の書き方、そして希望する実習先国での活動をイメージして1人5分のプレゼンテーションを行いました。

前田紗貴さん

 前田紗貴さん(人間科学科2年)は、フィリピンで農業活動を行うゲストスピーカーの話に大きな衝撃を受けました。頻繁に発生する災害により、農作物が被害を受ける中、農業活動を通してストリートチルドレンをサポートされている方の話でした。しかし、同時に、今後参加を希望しているフィリピンでのフィールドスタディに向けてさらに意欲を高めました。今後の研究では子どもに関することをメインに、海外での社会問題に対して、一つひとつ解決方法を見出していきたいと抱負を掲げています。

白石光音さん

高校生の時、人間福祉学部には海外で学べる機会が多くあることを知り、入学を決めたという白石光音さん(社会福祉学科2年)。人間福祉海外フィールドスタディはⅠ→Ⅱ→Ⅲと段階的に学べ、しっかり準備をした上で海外での活動に取り組めることに魅力を感じ履修しました。グループワークや発表では、社会起業学科生の活発な姿勢や、人間科学科生のユニークな発想に良い刺激を受け、学科融合型の学びの効果を得ることができました。将来の夢は海外で働くこと。環境が異なる海外で、人々はどのような生活を送り、どのような仕事があるのか。自分の目でみて、進路の選択肢に加えたいと、志高く語ってくれました。

桂裕香さん

桂裕香さん(人間科学科2年)は、高校時代に留学経験がありましたが、大学でも留学を考えていました。入学した2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響により、なかなか留学のチャンスがつかめない中、海外でのフィールドスタディに期待を膨らませています。希望する実習先国は、前田さんと同じくフィリピン。現地に関するリサーチを継続して行い、明確な目的意識と課題を持って実習本番に備えたいと考えています。プログラム全体を通して良い刺激を受けながら、着々と準備を進めていきます。

担当の溝畑教授は、「開講初年度の為、履修者が何名になるか予測できなかったが、3学科から37名も履修してくれたことと、さらに授業を通して履修生が現代社会における諸問題(環境、貧国、差別など)について、海外の様々な活動団体での実習を通して学びを深め、卒業後の将来も見据えた活動を真剣に考えている姿にとても感動した」と述べていました。

※学生の学年表記は取材当時のものです。
※取材・撮影は新型コロナウイルス感染対策を行いながら実施しています。