地理学地域文化学専修を紹介します

[ 編集者:文学部・文学研究科       2010年8月23日   更新  ]

地理学地域文化学専修を紹介します

世界の多様性をさらに愛するために

野外実習の様子(近江八幡)

「地理学地域文化学」とは何でしょうか。ひとまずは「地理学」と「地域文化学」に分けた方が理解してもらいやすいと思います。地理学については,「地理」という教科から連想して,地図や統計などを利用しながら世界の自然や産業,文化を学んでいく分野といったイメージがわくでしょう。ただし私たちの専修では自然地理学には重点を置いておらず,文化や社会が主な研究対象となります(なお,高校で地理を学んでいなくても大丈夫です)。次の地域文化学という名称は,私たちの専修の文化・社会志向と結びついています。地域文化学とは,1つの学問分野というよりは,「文化人類学」や「民俗学」などの研究を踏まえた,国内外の様々な文化・習俗についての幅広い研究を意味します。私たち4人のスタッフは,それぞれ「民俗文化の現代」,「小規模漁業の文化と環境」,「風景論の系譜と観光の文化史」,「人口移動と人々のネットワーク」といった研究テーマに取り組んでいます。

野外実習の様子(塩飽本島)

さて,地理学であれ地域文化学であれ,共通するのはこの世界の「多様性」への関心です。様々な人々,様々な文化,様々なマチやムラといった多様性に関心を持っていることは地理学地域文化学を学ぶ上で不可欠な素養となります。
 いや,それだけであれば,観光旅行やテレビの旅行番組や「エスニック料理」が好きだというのと変わらないのではないか,と思われるかもしれません。確かにその通りで,多くの人は地理学地域文化学を学ぶための基礎的な素地を持っているはずです。よって専門的にこれらの学問分野を学ぶとすれば,まずは世界の多様性について人一倍強い関心を持っていることが前提条件になるかもしれません。

野外実習の様子(南紀巡検)

もっとも,専門的に地理学地域文化学を学ぶためには,今少し違った素養も必要となります。歴史的観点や,社会への幅広く深い関心がそれです。
 たとえば多くの人々が訪れる観光地は,100年前にも今と同じような観光地だったのでしょうか? おそらくその場所は歴史的な変化を経て,今現在あなたが知っているような観光地になったはずです。あるいは次のような問いはどうでしょう。日本ではアジア各国の料理が「エスニック料理」として楽しまれていますが,アジア各国では日本料理は「エスニック料理」として愛されているでしょうか? そもそも,日本で「エスニック料理」が登場したのはいつ頃の話でしょうか?
 ここで言いたいのは,私たちが知っている多様な世界とは歴史的に生み出されたものであり,人々は多くの場合,この世界において,どちらかと言えば「非対称」な関係の中に(つまりは完全に平等ではない状態に)置かれているということです。あなたが今現在すでに知っている世界をそのまま楽しむというだけでは,歴史的に作り出された場所や,その中に生きる人々の非対称な関係は理解できません。多くの人は地理学地域文化学徒になるための基礎的な素養を持っているでしょうが,専門的にこれらの学問分野を学ぶのであれば,幅広く深く世界を知り,愛するという,あなた自身の姿勢が何よりも問われることになります。

 地理学地域文化学を学ぶのであれば,自らの力で多くの人に会い,多くの本を読み,多くの旅をしてもらいたいと思います。何でも徹底的に知ってやろうという意気込みが肝要です。そして私たちの専修では,世界の多様性を愛し,自ら新たな世界の見方を模索する人に対しては,そうした愛を深め,模索するためのヒントはある程度提供できるはずです。  

シーク教の集会にて










シーク教の集会にて(山口 覚 教授)