留学中の学生インタビュー 大西 直斗 さん

[ 編集者:経済学部・経済学研究科      2013年12月17日   更新 ]
大西さん(写真右側)

大西 直斗 (おおにし なおと)
  (経済学部3年生)
  
  【留学先】 
   オスロ大学(ノルウェー)
  【プログラム】
   交換留学(2013年8月~2013年12月)

留学中の喜怒哀楽や困ったことは?

困ったことで真っ先に思い浮かぶのはトイレです。オスロ市内で公共のトイレを使おうとすれば10NOK(170円くらい)かかります。なんのために高い税金はらってるんだ、と一人でつっこみました。オスロ市内に出かける前は、必ずトイレにいってから出かけます。さて、気になる物価のほうですが、ノルウェーは物価の高さでも有名な国。コーラ500ml・1本300円、ハンバーガーセット1300円。物価の高さは貧乏学生を困らせます。ご飯は基本的に高いため自炊です。私は一人暮らしをしたことがなく、自炊は目玉焼きをつくるのがやっとだったのですが、留学中に料理がうまくなりました。どうやら人間は環境に順応するようにできています。

オムライス

留学先できた友人とどのようなコミュニケーションをとっていますか?

仲の良い仲間と一緒に

友達は日本語や日本の歴史を勉強している現地の学生が多かったのですが、彼らとはお互いの言語や歴史を教えあったりして、コミュニケーションをとっていました。コミュニケーションのなかで気づいたのは、ノルウェー語を一から勉強していくなかで、「無知」は決して悪いことばかりではないということです。自分の知らないことに出逢えば、それは会話をするためのトピックになり、そこから会話が弾んでいきます。「これはノルウェー語でどうやって言うの?」といった具合に。幸いノルウェー人は英語が堪能なので英語でノルウェー語を教えてくれます。しかし「無知」ばっかりでは恥ずかしいこともあります。例えば、私は日本について無知でした。ノルウェーの学生にも日本の歴史にかなり精通している友人が多く、「神道についてどう思う?」とか「八百万の神の中で誰が一番好き?」などの質問をぶつけられることがあります。また、オスロ大学には世界各国から留学生が来ており、様々な人達と交流することも可能です。もちろんコミュニケーションをとるためには自分から積極的にという姿勢が大事です。

1週間の生活を簡単に教えてください。

ノルウェーの街並み

授業は3つとっており、私の場合は授業は午前中に終わります。その後はラウンジにいき、ノルウェー語と日本語のlanguage exchangeをします。その後は図書館に向かい、授業の予習復習を行います。ほとんどの週末には誰かがホストになってパーティがあります。お酒の場は新しい人との出会いの場、外国語の練習の場になるので体がもつ限り参加しています。そして私は三年生なので時間があるときは就職活動(自己分析・業界研究)をしています。ノルウェーの企業について調べるのも非常におもしろいです。ノルウェーからはヨーロッパに激安でいけるため、旅行も計画しています。

留学をするために大切な準備は?

自分の意見をしっかりと持つことです。授業ではディスカッションの機会が多く、自分が何を考えているかを問われます。私のノルウェー語のクラスでは私は唯一のアジア人で、他の学生はほとんどドイツからやってきた学生です。授業ではよくペアワークをやりますが、ノルウェー語が比較的得意なドイツ人の友人にまかせっきりになってしまいがちでした(ドイツ語とノルウェー語は似ているらしいです)。そんな私にドイツ人の友人が「お前なんか言えよ!」と喝をいれてくれました。それをきっかけに自分の言いたいこと・伝えたいことを意識するようになり、他の学生と対等にディスカッションやペアワークをすることができました。

大事なのはどれだけ単語・文法を知っているのか(もちろん大事ですが)ではなく、伝えたいものをもっているかどうかです。常日頃から、自分の周りにあるものを意識し、伝えたいと思うことが大切だと感じました。また、留学中のモチベーションを維持することも重要なことです。留学そのものがゴールになってしまわないように留学計画を立て、具体的な目標を設定することが大事です。私はいつも留学計画書を持ち歩いています。それと最低限の日本の知識、そしてノルウェー語の基礎です。

友人と

留学で得たものは?帰国後は、その経験をどういかしたいですか?

友人と

度胸と寛容さです。ノルウェー語の授業では、上述のとおり唯一のアジア人であり、ノルウェー語が苦手な私は頻繁にミスをします。先生との受け答えができずに笑われたり、ペアワークを組む時にはペアに露骨に嫌な顔をされることがありました。しかし逆にそれが私をノルウェー語の勉強に駆り立てました。最後のプレゼンでギャフンと言わせるという目標を立て、「今のうちに笑っていろ」というスタンスで勉強していました(といっても、他の学生と仲が悪いことではありません)。ノルウェー語のプレゼンでは他の学生は台本を読みながらの発表でしたが、私は台本なしでやりとげることができました。寮生活では様々な人とキッチン・バスをシェアします。多国籍の人たちと共同生活をしたり、キッチンパーティをすることによって、他文化を知り、寛容になることができます。留学前にゼミの先生からこんな言葉を頂きました。「大事なのは“成長”ではなく“勇気”」。留学で得たものはなにより、失敗を恐れない勇気と、何度失敗しても立ち上がるタフネスさだと感じます。

栗田ゼミ ケニアにて

私は海外生活を通して多くの人たちに出会うことができました。このような友人関係は世界をより小さくします。私はゼミの活動で8月にケニアに2週間滞在し、その足でノルウェーに向かいました。最も貧しいといわれるアフリカ、そして最も裕福だと言われる北欧を肌で感じることができました。ケニアはインフラ・食料・治安、様々な問題を抱えています。ケニアの農村訪問である家族にこう言われました。「子どもが学校に行くのにお金がたりない。どうにかしてもらえないだろうか」。そしてノルウェーでの留学中、同じフラットに住む友人がこう言っていました。「アルカイダが危ないからノルウェーにきたんだ」。そんなノルウェーでも問題はあります。高齢化が進む社会、移民問題、石油がなくなればどうするのか。貧困やテロ、少子高齢化などの社会問題はもちろんニュース等で聞いたことがあります。私はどこか他人ごとのようにこれらを受け止めていました。私は将来なんらかの形でビジネスを通してこのような問題に立ち向かいたいと考えています。友人の問題はもはや他人ごとではないのです。