§2 微分法
9.運動の速度
 まず,微分を物理へ応用してみましょう。

 この単元の初めで,「速度とは位置の瞬間の変化の割合」であるといいました。つまり,ある物体の位置が y=f(t) で表されるとき(ここの t は時間を表します),a 秒後の速度は,y を t で微分を行い,t へ a を代入することにより求めることができます。と言っていても,きっと分かり難いと思いますので,具体的な例を用いて説明してみましょう。

 ある学校の高さ45mある屋上から,ボールを水平に秒速30m/秒で投げることにします(時速にすると,108km/時間となるので,150km/時間で投げる伊良部よりかなりおそいですね)。地球には重力加速度がはたらいているので,ボールは落下して行きます。その加速度は,9.8mということは知られています。この時,ボールの位置は次のように表されます。

少々ややこしくなってきましたが,少し我慢してください。上の理屈でいうと,これが t 秒後のボールの位置ですから,それぞれの式を時間 t で微分すると,t 秒後の速度を求めることができますので微分してみます。

ここで,g は定数(重力加速度=9.8)としています。


このことは,x軸方向の速度は,常に一定の値で運動し,y軸方向へは,時間の9.8倍の速さで運動していることを示しています。マイナスがついているのは,地面方向に向かっているのでマイナスがついているだけで,余り気にしなくてもよいです。

 とりあえず,左の図を見てイメージをつかんでください。

 ボールが通った軌跡を見ると,放物線の形をしています。放物とは,物が落ちていく形をしていることからその名がついたのでしょう。確かに,放物線になっていますね。

 他にも,速度に関連する問題がありますから,紹介しておきます。

例題1.まっすぐな軌道を走っている列車がある。ブレーキをかけてから t 秒経過する間に走る距離を s mとするとき,

の関係があるものとする。この列車はブレーキをかけてから何秒後に止まるか。また,それまでに何m走るか。
[解答] s = 27t-0.54t2 ……(1) 
 s を t で微分すると,

 これが t 秒後の速度を表している。列車が止まるのは速度が 0 になるときであるから,s'=0 とおいて,

 だから,ブレーキをかけてから,25秒後に止まる。

 t=25 を(1)に代入すると,

 だから,ブレーキをかけてから止まるまでに337.5m走る。

練習問題1 直線上を運動する点の,動きはじめてから t 秒後の座標 s について,

      s = 12t-t3

の関係があるものとする。このとき,次のものを求めよ。

(1) t 秒後の速度  (2) 速度が 0 となる時刻









練習問題2 原点0を出発して,x 軸上を動く点 P の t 分後の座標 x mが


で与えられているとき,次の問いに答えよ。
(1) t=3 のときの速度を求めよ。
(2) 出発してから8分後までに動いた距離を求めよ。











 練習問題2は少々難しいかも知れませんが,運動の方向もかかわってきますので,それに注意しさえすればそんなにややこしいことでもないので,数直線に絵を描いてどこで方向が変わるのか,目で見ながら動いた道のりを理解してゆくとよいでしょう。

 それでは,最後に,微分に関するいろいろな問題を解いてみましょう。