§3 確率と面積の関係(3)

 先の章の最後では,結構ややこしくなってしまいました。ここでは,まず,離散型,連続型標本空間,確率変数,分布の具体的な例題を用いた説明を行なうことにしましょう。まず,離散型から始めます。

Fig.1



例題1 さいころを振って出る目の確率分布を求めよ。ただし,さいころはどの目も同じように出るものとする。
[解答] さいころを振って出る目をXとします。それと,確率 を対応させますと,右のような表が完成します。それを X を確率変数,p を確率変数 X の確率分布と呼びます。

 一般に,離散確率分布(確率法則)は次のように定義されます。

 上のことがらで大切なことは,確率を全部足せば 1 となることです。

例題2 さいころを振って出る目が1,3である確率を求めよ。
[解答] さいころの目が{1,3}からなる集合を A とします。このような集合 A を事象と呼びます。このとき,P(A)を求めます。

このとき「独立」という概念が必要ですが,この説明が必要な方は,ここを押して下さい。

例題3 1枚の硬貨を2回投げるとき,表の出る回数を確率変数 X とする。X の確率分布を求めよ。また,そのグラフを書け。
[解答] まず,表の回数の種類に分けて確率を求め,表にまとめます。下のような分布を,二項分布 Bin(n,p) と呼びます(B は Binomial Distribution からきています)。この分布については, ここ1ここ2 に説明が書かれています。

離散から連続へ



 いかがでしょうか? 離散型の記号の利用方法について理解できたでしょうか? それでは各自,練習してみましょう。

練習問題1 1枚の硬貨を4回投げるとき,表の出る回数を確率変数 X とする。X の確率分布を求めよ。また,そのグラフを書け。



二項分布


Note:
 シュミ
レーショ
ンで,p
の値を
0.5 とし
ましたが,
p の値が
0 に近い
時,正規
分布にな
かなか近
づいてく
れません。
その時,
別の分布
(ポアソン分
布)で近似
します。

 ここで,例題3と練習問題1のグラフを見比べて下さい。高さ(値域)や x の変化する領域(定義域)は異なりますが,全体の形は良く似たものとなっています。では,試行回数を大変多くすると,どのような形になるでしょうか?

 左のシュミレーションにおいて,変数 p は確率,変数 n は試行回数を表します。練習問題1では,表が出る事象が起こる確率 p は 0.5,試行回数 n は,4 なので,バーをドラッグして,その値に合わせてみて下さい。p,n のそれぞれの値は,右上のところに表現されています。練習問題1で見たグラフが確認されます。

 次に,p の値を一定にして,n の値を増加させてみて下さい。すると,ある一定の形(高さは異なりますが)に近づいていくことが分かります。この関数を,確率変数 X の確率密度関数を言って,具体的には左上のような関数となります。このような曲線を,正規分布曲線と呼びます。このことは,数学的にも証明されます。興味ある方は,ここを参照して下さい。また,正規分布に関する詳細は,後の第3章にゆずるとして,ここでは,連続標本空間の例を紹介します。

 一般に,(連続)確率分布は次のように定義されます。

[(連続)確率分布]
 X の分布曲線 y=f(x) において,




が成り立つとき,X を連続確率変数f(x) を X の確率密度関数という。ここで,X のとる値の範囲が αβ のとき,(2)より となる。また,Pを確率分布と呼ぶ。


 なかなか難しく書かれていますが,大切なことは,離散型でも述べたように,全体の確率を足せば 1 となるということです。つまり,分布関数において全体の面積はつねに 1 となることです。

例題4 確率変数 X のとる値 x の範囲が 0≦x≦2 で,その確率密度関数 f(x) が

f(x)=0.5  (0≦x≦2)

で与えられるとき,x の値が 0≦x≦1 である確率,すなわち P(0≦x≦1) を求めよ。また,P(0.1≦x≦1.3) を求めよ
[解答] まず,確率密度関数のグラフを描きましょう。つまり,f(x)=0.5 (0x2) のグラフです。





 このとき,グラフは図1のようになります。このとき,全体面積 P(0x2) が分布関数になっているかどうか確かめてみましょう。つまり,図2で描かれた部分の面積を S 求めます。

よって,確かに確率密度関数になっています。ここで,求める確率は P(0x1) なので,その領域は,図3のようになりますので,その面積は S1=(2-1)×0.5=1×0.5=0.5 となります。したがって,求める確率は P(0x1) は,

となります。f(x) は確率密度関数なので,全体面積はすでに 1 となっていますので,これからは該当する部分の面積だけを求めることにします。P(0.1x1.3) の求め方は上と同じで,図4より S2=(1.3-0.1)×0.5=1.2×0.5=0.6 となります。

もう一つ,練習問題を出しておきます。

練習問題2 確率変数 X のとる値 x の範囲が 0≦x≦4 で,その確率密度関数 f(x) が,

f(x)=ax  (0≦x≦4)

で与えられるとき,定数 a をの値を求めよ。また,P(0≦X≦2),P(2≦X≦4) を求めよ。






 最後の方は,結構ややこしくなってしまいました。なるべく数学記号は用いないで説明しているのですが,積分記号も出てしまいました。この記号が出てきたら,「該当領域の面積を出しているのだ」と思っていて下さい。

 面積を用いて,日常生活で起こる現象から,いろいろな確率を求めることができます。次の章より,そのいくつかについて紹介していきましょう。