6 推定虎の巻

 とにかく,ここまでやってきました。最後にまとめとして,いくつか例題を解くことにします。ここでは,問題を解くというよりも,日常起こっている事柄にどのように適応することができるかということを考えて下さい。


まとめ
 ▲母平均の推定
 母集団から復元抽出によって大きさ n の標本を無作為に取り出し,その標本の平均値を ,標準偏差を s とするとき,n が十分に大きいならば,
 母平均 m の信頼度 95% の信頼区間は,

 ▲母比率の推定
 母比率を p,標本における比率を とするとき,p の信頼度 95% の信頼区間は,

 信頼度を 99% とするときは,1.96 の代わりに 2.58 を用います。

例題1(母集団の平均値の推定) 高校3年生5万人を対象とする数学のテストを行なった。その集団を母集団として,大きさ 400 の任意標本を選んだところ,その平均が 61.2 点,標準偏差が 12.3 点であった。母集団の平均値を 95% の信頼度で区間推定せよ。
[解答] 母集団の平均点を m とすると,

よって,60.0 < m < 62.4 .

 テスト自体の分布は,常に正規分布に従うとは限らないことも知っておこう。正規分布となる場合はあくまで,偶然発生することを前提に考えています。ところが,テストの場合,何も試験勉強を行なわないで任意に答えを書く?,ことはないと思います。したがって,正規分布を適応することはとても失礼なことなのかもしれません。


例題2(母集団の比率の推定) 次回の知事選挙に,A,B,C の3名が立候補した。そこで,有権者 1000 人を任意抽出して,どの候補者に投票するか調査を行なった。その結果,候補者 A に投票する者 442 人,B に投票する者 396 人,C に投票する者 162 人であることが分かった。A は,果たして知事選挙に当選できるであろうか。
[解答] 支持率は,それぞれ,44.2%, 39.6%, 16.2% となる。候補者 A, B に関し,それぞれの母比率を mA, mB とし,95% の区間で推定すると,

となるので,0.412<mA<0.472, 0.366<mB<0.426 となる。したがって,上の表より言えるように,A氏の最低推定支持率より,B氏の最高推定支持率の方が上回っているので,この時点では当選するとは限らないと判断できる。


 ここで,誤差,または,精度を定義することにしましょう。誤差は,右の図のように 95%,99% の信頼区間に対応します。右の図では,95% の場合が取り上げられていますが,99% の時は,1.96 の係数の代わりに 2.58 を用います。また,精度は誤差の半分の値を指します。

例題3(標本数の決定) ポテトチップス1袋の重さは標準偏差 1.2g の正規分布をなすことが分かっている。信頼度を 95% として,誤差(信頼区間)を 0.5g 以内で推定するには,およそ何個以上調べればよいか。
[解答] 求める個数を,n個とすると,

 したがって,89 個以上,調べなければならない。


 このように見てみますと,推定に関する問題には,パターンがあるみたいです。

の3つに分かれます。左のアプレットに,それらをまとめましたので,各自で整理してみておいてください。

 まず,上の3つの種類を選択し,チェックボックスをマウスで,クリックして下さい。次に,テキストフィールドに適当な値を入力し,最後に必ずエンターキーを押して下さい。そうすると,アプレットが動き出します。どのように求めることができるのか,途中の様子を見ることができます。