2 3種の平均を目で見ると

 前の章では,いろいろな代表値について紹介しました。この章では,その中でも,代表値の中の平均にしぼってお話しすることにします。

 次の問題にいくつ答えられるでしょうか?


Step 1 英語50点,数学70点のときその平均点はいくらでしょう。
[解答]これは,簡単ですね。単純に,


とします。この平均を,相加平均または算術平均と呼びます。








Step 2 Aのビーカーには10%の食塩水が100g,Bのビーカーには5%の食塩水が400g入っています。この2つのビーカーを合わせたとき,平均何%の食塩水が入っているといえるでしょうか?
[解答] 少しややこしいですが,食塩の量に着目します。Aのビーカーには 100×0.1=10(g),Bのビーカーには 400×0.05=20(g) の食塩が入っていますので,


となります。これは,


と書くこともできます。このような平均を,重み付き平均と呼びます。この平均に関して,次の章で詳しくお話するこことにします。




Step 3 ある店の3ヶ月間の売り上げが,それぞれ5万円,10万円,100万円でした。したがって,売り上げは2倍,10倍となったわけですが,このとき,売り上げの平均倍率はいくらといえるでしょうか?
[解答] これを (2+10)÷2=6(倍) とすると,平均売り上げは,2ヶ月目は5万円×6=30万円,3ヶ月目は30万円×6=180万円となり,適した平均といえません。このような時は,


という平均を用いると,2ヶ月目は5万円×4.5=22.5万円,3ヶ月目は22.5万円×4.5=101.25万円となり,適した平均といえます。この平均を,相乗平均と呼びます。詳しくは,下記を見て下さい。




Step 4 ある実験において,5回計測したとき,6,13,38,55,800 となりました。このときの,平均値はいくらになるでしょうか?
[解答] このようなとき,相加平均をとると,(6+13+38+55+800)÷5=182.4 となります。800 だけが大きいためにこのようになってしまったといえるでしょう。このような時も,


相乗平均を用いると,数値が耕されます。




Step 5 片道10kmの道のりを,行きは平均時速10kmで,帰りは平均時速5kmで往復しました。この時の平均時速は何kmといえるでしょうか?
[解答] このとき,単純に (10+5)÷2=7.5(km/h)とするのではなく,行き 10÷10=1(時間),10÷5=2(時間) となりますから,往復で3時間かかったことになります。よって,20÷3=6.7(km/h) となります。これを一つの式で書くと,


となります。このような平均を調和平均と呼びます。この式から見ると,10km は無関係となります。



 いかがですか? 平均と言っても,いろいろな平均があります。上でも述べたように,ここで,相加平均相乗平均調和平均 の一般的定義を紹介しておきましょう。

 正の数 x,x2,……,xn に対して,

相加平均


相乗平均


調和平均



とします。この3つの平均には,次のような性質があります。

 相加平均≧相乗平均≧調和平均


 この証明は,他の参考書を見てもらうことにしまして,ここでは,実際,本当にこの関係式が成り立っているかどうか,体験してもらうことにしましょう。

 左の,ハンドルを,上下に移動してみて下さい。それぞれの平均が変化しますが,決して,相加平均の値を他の2つの平均が上回ることはありません。ただし,この場合,相加平均の値を一定にしています。このようにしても,一般性は失われません。

 いろいろな平均がありますね。とにかく,このような平均もあるのだなぁ,というくらいで結構です。もう少し,いろいろな平均が続きます。がまんして下さい。