4 ちょっと休憩(1) (針を落として円周率!?)

 針を落として,円周率が求まる!?」,一体どういうことでしょうか? 確率と面積を関連付けした考え方を利用すれば,いろいろな確率を求めることが可能となります。そのいくつかの例を挙げてみましょう。

 平面上に,平行線を何本か引き,その上から針を 1 本,無作為に落とす試行を繰り返します。その試行で,平行線と針が交わった回数を測定します。以上のことから,円周率を求めることができるのです。

 「百読は,一見にしかず」,下のシュミレーションで確かめてみることにしましょう。初期設定では,平行線の間隔を 80 とし(単位はcmでもなんでも結構です),平行線数を 6 本とし,試行回数を 2000 回としています。そして,スターとボタンを押して下さい。すると,下に交わった回数と試行回数が計測されます。一番下には,その計測値から,円周率が計算されています(計算方法の説明は後ろ)。いろいろと,試してみて下さい。

Buffon の針シュミレーション



 いかがですか? 若干の誤差はともないますが,どうして,このようにすれば,円周率を求めることができるのでしょうか? 実は,これも面積を用いることにより求めることができるのです。では,証明することにしましょう。

 今,針の長さを ,平行線の間隔を 2h とします。そして,平行線の間隔は,針の長さより大きいものと仮定します。すなわち,<2h,つまり,h と仮定します。

 このとき,針が平行線と交わる確率 p を求めてみましょう。



 最初に,針が平行線と交わる条件を探ります。頭の中で,その状況を思い浮かべてみましょう。Fig.1 を見て下さい。h なので,この針は一度に2本の平行線と交わることはありません。

 今,針を落としたとき,針の中点Mから最も近い平行線までの距離を x とし,平行線に直交する直線と針の角(正の最小角)をθとします。すると,

となります。




(1) 標本空間の面積
 まず,標本空間Ω(全面積)を求めます。この中には,交わらない場合も含まれています。図を書けば,Fig.2となります。よって,

(2) 該当部分の面積 A


 次に,上の標本空間の中で,交わる場合を考えましょう。

となります。そして,この領域を図で表すと Fig.3 となります。よって,

(3) 交わる確率 p
 最後に,交わる確率を求めることにしましょう。求める確率 p は,

 このようにして,交わる確率をもとめることができます。

 このことを利用して,円周率を求めることができます。例えば,シュミレーションでは,針の長さ =60,平行線の間隔 2h=80 として,試行を 2000 回行ないました。その結果,交わった回数が 952 回であったとき,交わる確率は上の計算より ,よって,円周率は,

このことより,π=3.151 となります。

 上の例題では <2h と仮定しました。次に,針の長さが,平行線の間隔より長い場合は,どのようになるか考えてみましょう。次に例題を上げておきますので,力がある方は演習してみてください。

例題1 針の長さが 4h で,平行線の間隔が 2h であるとき,針と平行線が交わる確率 p を求めよ。




 もう少し,身近な日常生活で,私たちが不思議に思っている事柄を,この面積と確率の関係で探ってみましょう。(これは,ほんと,予定外です。製作しているうちに,どんどん横道にそれていく,個人的な趣味に走っているような気がしますが,興味ある方は,次に進んで下さい。)