§1 数 と 式

何を示すのかが問題です



7 等式の証明

 「恒等式」で言ったように,等式,不等式 のような式があげられます。これから,残り2つについて説明します。

 さて,等式の証明において,一番よく間違う答案は,「何を証明したいのか」が明確でない答案です。次の例題で説明しましょう。

例題1.a+b+c=0 のとき,次の等式を証明せよ。

[証明]

        答 案 1

       答 案 2

a+b+c=0 より c=-(a+b) なので,

もとの式に代入すると,

2a2-b(a+b)=(b-a)(-a-b-a)


2a2-ab-b2=(b-a)(-2a-b)


2a2-ab-b2=2a2-ab-b2


ゆえに,左辺=右辺 となる。

a+b+c=0 より c=-(a+b) なので,

もとの式に代入すると,

左辺=2a2-b(a+b)

    =2a2-ab-b2

右辺=(b-a)(-a-b-a)


    =(b-a)(-2a-b)

    =2a2-ab-b2


ゆえに,左辺=右辺 となる。

答案1と答案2,どこが異なるか,分かるでしょうか?

 答案1では,何を示したいのかが明確でありません。今,証明したい事柄は,「左辺と右辺は等しい」ということを示したいのです。つまり,「」が成り立つことを示したいのです。ですから,証明の初めより,この記号を用いれば結果は成立するのは明確です。

 では,どのように証明すればよいのでしょうか? そこで,もう一度,答案2を見てください。この答案2では,右辺は右辺,左辺は左辺で分けて計算されています。つまり,計算された結果が等しいということが示されているのです。

 他にも,証明パターンがありますので,紹介しておきます。

(T)「左辺,右辺分離型」証明法


(U)「左辺ー右辺=0」証明法


(V)「左辺=……=……=右辺」証明法


 どれを利用するかは,問題によります。上の例題で,(T)の証明法は紹介しましたので,(U),(V)を用いることにより証明してみましょう。

 どれを用いるか判断するには,多くの問題に接する必要があります。このことを頭において,証明するだけで,大分労力が軽減されます。では,どの証明法を用いるかは皆さんに任せるとして,何題か例題で,試してみることにしましょう。

例題2 等式

が成り立つことを証明せよ。
[証明] 証明法(U)を用いて証明します。

左辺-右辺=(a2+2ab+b2)-(a2-2ab+b2)-4ab=4ab-4ab=0

       (証明終)


例題3 a+b+c=0 のとき,等式

を証明せよ。
[証明] 証明法(V)を用いて証明する。

条件より,a+b=-c,b+c=-a,c+a=-b であるので,

左辺=(-c)(-a)(-b)+abc=-abc+abc=0

(証明終)


 いかがでしょうか? 上に示した例題で用いた型は一例で,それ以外の型でも証明できます。次は,自分で考えてみましょう。

練習問題1 次の等式が成り立つことを証明せよ。

練習問題2 x+y+z=0 のとき,次の等式が成り立つことを証明せよ。

ワンポイント
  のような式を,比例式
(3項の場合もあります)といい
ます。この式は,ad=bc とも書
くことができ,これは,a:b=c:d
における「内項と外項の積は等し
い」ということと同じ表現となり
ます。
 利用方法は, というよ
うに,k とおき a=kb,c=kd とし
て用いられます。

練習問題3  のとき,次の等式が成り立つことを示せ。


 いかがでしたか。証明において,ただ単に問題を解くというだけではなく,「何を示したいのか」,どのような型で証明するのか,ということを意識をもって証明問題に取り組むだけで,力のつき具合が異なります。

 次の不等式でも同じことがいえます。この意識を大切に,次の章へ,進んでください。