§2 数 列

5 等比数列

  次のような数列 {an}

があります。このような数列の第 n 項 an はどのように表現されるでしょうか?


 この数列は,初項 3 に一定の数 2 を次々に掛けて作られる数列です。たとえば,

つまり,第2項は初項 3 に 3 を 1 回掛け,第3項は初項 3 に 2 を 2 回掛け,第4項は初項 3 に 2 を 3 回掛けていけばそれぞれの項の値を求めることができます。このことから,第n項の値がいくらであるか予測することができますね。

 第2項は 2 を 1 回,第3項は 2 を 2 回,第4項は 2 を 3 回掛けるとそれぞれの項を求めることができますので,第n項は,初項に 2 を n-1 回掛ければよいことになります。すなわち,これを式で表しますと,第n項 an

となります。実際に,上の数列を表しているかどうか n=1,2,3,… を代入して確かめてみましょう。



 この数列に関し,曽路利新左衛門と太閤秀吉の有名な話があります。新左衛門が秀吉からほうびに何がほしいかと聞かれたとき,新左衛門は,

と言いました。秀吉はそんな小さな願いでよいのか,とすぐ承知したのですが,勘定してみると,

1升6万粒として,37,530 万石となり,当時の大名の総石高が 860 万石なので,とてつもない量になり,流石(さすが)の秀吉も参ってしまったということです。

 一般に,数列 a1,a2,a3,……,an,…… の各項に,一定の数 r を掛けると次の項が得られるとき,

という関係が成り立ちます。この関係が成り立つ数列を 等比数列 と呼び r を 公比 と呼びます。上の例では,初項 3,公比 2 の等比数列となります。

 初項が a,公比が r である等比数列の各項は,

と表現されます。よって,一般項 an は次のように表現されます。

例題1 等比数列{an}において,初項 3,a4=375 の公比 r と一般項 an を求めよ。
[解答] 題意より一般項 an は an =3rn-1 となる。a4 =375 より,3r4-1=375 なので,r3=125=53. よって,r=5. ゆえに,一般項は an=3・5n-1.

 次に,等比数列の典型的な問題を紹介します。

例題2 第2項が 6,第4項が 24 である等比数列の一般項 an を求めよ。また,その第7項を求めよ。
[解答] 初項を a,公比を r,第n項を an とする。すると a2=6,a4=24 なので,

すなわち,

ワンポイント
(2)を(1)で辺々割る
計算方法は,等比数
列でよく利用するの
で覚えておこう。


から,a と r を求めればよい。そこで,(2)を(1)で辺々割ると

となる。これを解くと,r2=4. よって,r=±2

(A) r=2 のとき,(1) より,a=3.
このとき,一般項 an an=3・2n-1
となる。また,a7=3・27-1=192.

    (B) r=-2 のとき,(1) より,a=-3.
    このとき,一般項 an an=-3・(-2)n-1
    となる。また,a7=-3・(-2)7-1=-192.


 これらのことがらを基本として,次の練習問題に挑戦してみましょう。必ず解答がありますので,パズルのように考え,そしてその解答が正しいかどうか確かめることもできますので,工夫をしながら考えてみてください。

練習問題1 次の等比数列の一般項 an を求めよ。

    (1) 

    (2) 初項が 3,第8項が 384




練習問題2 第3項が 3,第7項 48 である等比数列の一般項 an を求めよ。




練習問題3 等比数列をなす3つの実数の和が 19,積が 216 であるという。この3つの数を求めよ。




 いかがでしたでしょうか? とにかく,いろいろと自分で試行錯誤をしながら問題を解くことができますので,根気よく考えてみましょう。



 右の正三角形をみてください。一辺の長さを1とします。「next」というボタンを押すと,各辺の中点を結んで4個の小正三角形に分かれ,中央の色のついていない小正三角形が取り除かれます。このとき,色のついている正三角形の面積の和を a2 とします。次に,3個の小正三角形に同様の操作を行ない,色のついた正三角形の面積の和を a3 とします。このようにして求められる,正三角形の面積の和 an を求めて下さい。
[解答] 
(1) 初期状態を F1 とします。この正三角形の一辺の長さは 1 なので,

となります(なぜこのようになるかは,ここをクリックして下さい)。
(2) 次に,「next」を一回押した状態を F2 とします。このとき,色のついた部分の面積の和 a2 は,全体の面積 a1 なので,

となります。
(3) このようにして考えますと,一般に,Fn のときの面積の和 an は,

となります。
(4) よって an は,初項 ,公比 の等比数列となりますので,

となります。これは,三角形の各辺の中点を結んで三角形の中に三角形を繰り返し作成してできる図形を,シルビンスキーのギャスケット(詰め物)と呼ばれています。

 いろいろなところに,等比数列は隠れています。次は,等比数列の和についてお話します。