§1 数 と 式

4 剰余の定理

ワンポイント
「商」とは割り算の答え,
「積」とは掛け算の答え,
「和」とは足し算の答え,
「差」とは引き算の答え
を意味します。


 割り算の問題です。

例1 次の割り算を行い,商と余りを求めよ。

[解答] まじめに割り算を行ないますと,

このように考えますと,とても簡単ですね。この(1)式は,

とも書けます。すなわち,5367=39×+余り となります。では,次の問題はいかがでしょうか?

例2 次の割り算を行い,商と余りを求めよ。

[解答] これも次のように割り算を行ないますと,

(3)式も(2)式のように書換えると

となります。


 一般に,x についての整式を P(x),Q(x) などと表されます。また,整式 P(x) に,x=α を代入したときの式の値を P(α) と表されます。今,P(x) を整式 xーα で割ったときの商を Q(x) 余りを R としますと,これらの整式には,

という関係が成立ちます。(4)式は,一見あたりまえのことを言っているように見えますが,これが意外と役に立ちます。例えば,(4)式の両辺に x=α を代入しますと,

となりますので,

すなわち,整式 P(x) を xーα で割った余り R は,P(α) となることを言っているのです。余りだけを求めるのなら,いちいち上のような割り算を行なわなくても,割る因数を xーα とすると P(α) となるということを言っているのです。この性質を,剰余の定理 と呼びます。

なぜ α を代入するかと言いますと,(4)式の右辺において,第1項を 0 とするためです。つまり,割った商 Q(x) がどのような式であっても,その係数が 0 となり消去され余り R だけが残るからです。では,この性質を用いて,次の例題を行ないましょう。

例題1 整式 x3-6x2+3x+18 を次の1次式で割ったときの余りを求めよ。

[解答] 剰余の定理を用います。P(x)=x3-6x2+3x+18 とおき,P(x) を与えられた1次式で割った商を Q(x) 余りを R とします。
(1) P(x)=(x-1)Q(x)+R と書けるので,余り R を求めるには,(x-1)Q(x)=0 となればよいので,x-1=0 すなわち,x=1 とします。よって,余り R は,

となります。

ワンポイント
 右の例題の答案は,剰余の定理
の構造(どの値を代入するのか)を
理解するために詳しく書かれたも
ので,実際の答案の書き方は,次
のようになります。
(1) 剰余の定理より,余りは,
P(1)=16 となる。

(2) P(x)=(x+1)Q(x)+R と書けるので,余り R を求めるには,(x+1)Q(x)=0 となればよいので,x+1=0 すなわち,x=-1 とします。よって,余り R は,

となります。
(3) P(x)=(x+2)Q(x)+R と書けるので,余り R を求めるには,(x+2)Q(x)=0 となればよいので,x+2=0 すなわち,x=-2 とします。よって,余り R は,

となります。
(4) P(x)=x・Q(x)+R と書けるので,余り R を求めるには,x・Q(x)=0 となればよいので,x=0 とします。よって,余り R は,

となります。
(5) P(x)=(x-3)Q(x)+R と書けるので,余り R を求めるには,(x-3)Q(x)=0 となればよいので,x-3=0 すなわち,x=3 とします。よって,余り R は,

となります。


ここでもう一度,上の例題1(4)の意味を考えてみましょう。結果は,P(3)=0 で余りは 0 となります。これはどういうことか考えてみてください。


余りが 0

P(x) は x-3 で割り切れる

P(x) は x-3 を因数に持つ


となります。つまり,剰余の定理を用いると,与えられた整式 P(x) は,x-α で割り切れるかどうか,簡単に見分けることが可能であると言えます。実は,これが因数定理なのです。この説明は,次の章で行なうこととしまして,剰余の定理を完璧にしておきましょう。

 上のカンガルーの問題は,剰余の定理に関する練習問題です。利用の仕方は,求めた余りをテキストボックスへ入力し,その後,必ずエンターキーを押して下さい。すると,次の問題が出てきます。うまくいけば,3題で終了しますが,一度でも間違えてしまいますと,最初からやり直すことになります。

練習問題1 整式 P(x)=4x3+ax2-5 が x+1 で割り切れるように,定数 a の値を求めよ。




 整式 P(x) を ax-b (a0) で割ったときの商を Q(x),余りを R とすると,

となります。このことを利用しますと,次の練習問題ができます。

練習問題2 整式 P(x)=2x3+x2-4x+3 を 2x-1 で割った余りを求めよ。また,2x+1 で割った余りを求めよ。




 この剰余の定理が分かれば,次の章の因数定理を簡単に理解することができます。