§1 数 と 式

3 因数分解

 前の章でも述べたとおり,私たちがこれから取り組む因数分解の問題は,結論から言いますとある因数分解された式があって,それを展開したものですから,必ず,因数分解されるはずです。

したがって,どうしても分からなければ,解答を見てその式を展開してみると分かります。この因数分解の問題では例外も多くありますが,代表的なケースについてまとめてみました。

(A) 共通している文字でくくり出すケース
 このケースは,共通する因数を見つけそれをくくり出し整理します。
例題1 次の式を因数分解せよ。

[解答]

(1) 3つの単項式から成り立っています。それらの公約数を見つけ,括弧でくくります。

(2) 4つの単項式から成り立っています。この場合,すべてに共通した文字はありません。このような時,適当に,3つ,2つと組み合わせ共通した文字を見つけていきます。

  ab+a+b+1=(ab+a)+(b+1)=a(b+1)+1・(b+1)=(b+1)(a+1)=(a+1)(b+1)

練習問題1 次の式を因数分解せよ。


(B) 公式を用いるケース
 よく使われる公式に適応する。公式において,どの文字がどの文字に対応しているかさえ理解できれば簡単。展開の公式の右辺と左辺を入れ替えたものが,因数分解の公式です。数学では,左辺の式が元の形,それに対し右辺の式は作業を終えた結果となります。時間経過からみますと,左辺→右辺となります。

因数分解に用いる公式

[1]

A2+2AB+B2 = (A+B)2

 A2-2AB+B2 = (A-B)2

[2]

A2-B2 = (A+B)(A-B)


[3]

x2+(A+B)x+AB = (x+A)(x+B)


[4]

ACx2+(AD+BC)x+BD = (Ax+B)(Cx+D)

[5]

A3+B3 = (A+B)(A2-AB+B2),

 A3-B3 = (A-B)(A2+AB+B2)

[6]

A3+3A2B+3AB2+B3 = (A+B)3

 A3-3A2B+3AB2-B3 = (A-B)3


 このような公式は,ただ単に暗記するのではなく,構造を理解しておきましょう。すなわち,[3]式において,右辺の A,B と左辺の A,B はどのような関係があるか理解しておくのです。右辺の A,B は,左辺では 足してxの係数掛けて定数項 となっています。また,[5]について,符号に注意しておきましょう。


例題2 次の式を因数分解せよ。

[解答]
(1) 公式[3]を用います。足して -1,掛けて -6 となる数のペアーを探せばよいのです。まず -6 に着目しますと,(-6)・(1),(-3)・(2),(-2)・(3),(-1)・(6)の組み合わせの中で,,足して-1となるのは,(-3)・(2)だけです。したがって,

となります。
(2) 公式[4]を利用します。構造的に理解しておかないと解決できません。。[4]の右辺のA,B,C,Dは,左辺ではAとCを掛けて x2 の係数,BとDを掛けて定数項,ADとBCの和が x の係数となっています。これは,次のようにしてみると分かりやすく理解できます。

このような表を利用して,A,B,C,Dを発見する。上の表でBCとADの作成において

より,解は (2x+3)(x+1) となります。このように,1・3,2・1と表のの中の数値を対角線上に掛けることから,このような因数分解を「たすきがけ」の因数分解と呼ばれています。

練習問題2 次の式を因数分解せよ。


(C) 「たすきがけ」の応用のケース
上の「たすきがけ」の[4]において,A,B,C,Dが因数になっているときを考えましょう。
例題3 次の式を因数分解せよ。

[解答]ここでのポイントは,降べきの順に整理し直すことから始めます。つまり

となります。次に,できるところから因数分解を行なうという精神にのっとり,(y2+3y+2) の部分に着目し因数分解を行うと,(y+1)(y+2)となります。すなわち,次のようになります。

x2-(2y+3)x+(y2+3y+2)

=x2-(2y+3)x+(y+1)(y+2)



となりここで,「たすきがけ」の登場です。


 右辺のxの係数

  右辺の定数項

AとDの積,BCの積

   1

   -(y+1)

1・{-(y+1)}=-(y+1)

   1

   -(y+2)

1・{-(y+2)}=-(y+2)

1・1=1(x2の係数)

(y+1)(y+2)(定数項)

-(y+1)-(y+2)=-2y-3(xの係数)



したがって答えは,



たすきがけの応用




となります。少しわかりにくいかもしれませんが,慣れればさほど苦労も無く因数の組み合わせが分かるようになります。









練習問題3 次の式を因数分解せよ。

 このような問題を基礎に,少してこずるような問題がありますので,紹介しておきましょう。うまい方法が見つからなくても,少々時間をかけて,楽しみながら解いてみましょう。

練習問題4 次の式を因数分解せよ。

 この他にも,因数定理を用いた因数分解がありますが,それは因数定理の単元で紹介したいと思っております。