§1 数 と 式

11 必要条件と十分条件(2)

 この章では,必要・十分条件を前の章と異なった方向から考えていくことにしましょう。

 前の章では,

といいました。

 今回は,集合という立場から上の定義に不都合が起こらないように必要条件・十分条件を定めていきたいと思います。そこで,例題1であつかった問題をもう一度思い浮かべてください。

例題1 Aという品物があります。そのとき,Aがりんごであるということは,Aが果物であるための何条件か。

 これを集合の立場から考えていきましょう。といっても,「集合が苦手だ」という人も心配ありません。気楽に集合という文字を,グループという言葉に置き換えてもらえればいいと思います。

 そこで,上の例題1において,次のように定めます。

とします。そして,その集合の関係を調べてみます。すると右の図のような関係になっています。




 果物という集合Pは,りんごQという集合を含んでいます。このようなとき,集合Pが集合Qを完全に含んでいる(記号で書くとP⊃Q)とき,

といいます。したがって,与えられた2つの条件を集合で表したとき,集合の大きさを考え,どちらの集合がどちらの集合を含むのか,包含関係を考えます。そして,

くだもの屋にりんごがあります



と呼びます。これは,りんごを買いに行くとき,まず果物屋さんへ行き,そして,りんごを買います。このとき,果物屋さんということが,Pという集合にあたり,りんごを得るということが,Qという集合に相当します。左のアニメーションはそのようなことを意味しています。


 前の章で説明した必要・十分条件の考え方と,少し異なっているようですが,同じ結果になるので,各自で考えやすい方法を選択することにしましょう。

 では,次の例題2でもう少し考えてみることにします。

例題2 次の各問に答えよ。

(1) (x-2)(x+3)=0 であることは,x=2 であるための何条件か。
(2) x を実数とするとき,x>1 であることは,x>-2 であるための何条件か。
[解答]
(1) Pを (x-2)(x+3)=0 を満たす x の集合とします。すなわち,P={2,-3} となります。一方,Qを x=2 を満たす x の集合,すなわち,Q={2}とすると,右の図のようになります。したがって,集合Pは必要条件,集合Qは十分条件となります。




そこで,もう一度,問題文へもどりますと,問いかけは PはQであるための何条件か ということなので,

となります。

(2) 集合Pを,x>1 を満たす x の集合,集合Qを,x>-2 を満たす x の集合とします。このとき,集合Qは集合Pを含むので,Q⊃Pとなります。問題は,PはQであるための何条件かということなので,PはQも含まれるので,PはQであるための十分条件となります(集合関係を図で書いてみるとよいでしょう)。

 要するに,集合の大きさ比べとなります。ここで,次の練習問題を解いてみることにしましょう。

練習問題1 次の各問に答えよ。

(1) □ABCD が正方形であることは,□ABCD が平行四辺形であ
るための何条件か。
  


(2) a+b=0 であることは,a=b=0 であるための何条件か。




 集合の考え方はいかがでしたか。どちらの考え方が良いかは,個人によって異なると思います。考え易いやり方を,選択するようにしましょう。