§1 数 と 式

10 必要条件と十分条件(1)

 一般に,式や文章で表された事柄で

ものを 命題 といい,その命題が正しいことを正しくないことをである,という。

例 次の文章で,命題となるものはどれでしょうか?

(1) A君は,明日,CDかパソコンを買います。

(2) 5×6=32

(3) 富士山は高い山です。

 どれが命題か分かりますか。(1)(2)が命題,(3)は命題ではありません。なぜなら,(1)(2)は真か偽か明確に分かりますが,(3)については,真か偽か判定することができません。「富士山が高い」といっても,「高い」の基準が明確でないため,判定できません。また,この例において,命題自体が間違っているか正しいかを問題にするのではなく,判定できることが可能であるのか,不可能なのかが問題であるということに注意してください。

 次に,2つの条件 p,q を用いて,

という形の命題を考えます。また,p 仮定q 結論,といいます。

 そして,「p ⇒ q が真」であるとき,

といいます。何が主語になっているのか,注意しておきましょう。一度,例題で示してみましょう。

q p であるための何条件か考えるには・・・



例題1 Aという品物があります。そのとき,Aがりんごであるということは,Aが果物であるための何条件か。
[解答]上の定義にしたがって,次のようにして考えます。
(1) 「Aがりんごである」⇒「Aが果物である」
という命題が真であるかどうか考えます。

これは明らかに成立しますね。りんごであって,しかも,果物でないようなものはないです。

よって,この命題は成立するので,

(2) 「Aが果物である」⇒ 「Aがりんごである」
という命題が真であるかどうか考えます。

ワンポイント
成り立たない例のことを,
反例といいます。反例は,
多く示す必要はありません.
1つ示せば,それは,証明
となります。



この命題は偽となりますね。Aが果物であるからといって,Aはすべてりんごになるとは限りません。なぜなら,Aがみかんである場合もありますね。

よって,この命題において,「Aがりんごである」ことは,「Aが果物である」ための,必要条件ではありません。

(1)(2)より,「Aがりんごである」ことは,「Aが果物である」ための,十分条件であって,必要条件ではありません。

 以上が解答ですが,解答の構成が理解できましたか。

 特に,(p ⇒ q かつ q ⇒ p)が真であるとき,p ⇔ q と書き,

といいます。

 では,いくつか練習問題を行なってみましょう。

練習問題1 次の各問に答えよ。

(1) (x-2)(x+3)=0 であることは,x=2 であるための何条件か。

(2) △ABC が正三角形であることは,△ABC が2等辺三角形であるための何条件か。

(3) x を実数とするとき,x>1 であることは,x>-2 であるための何条件か。。

(4) a=b であることは,am=bm であるための何条件か。  

 特に,(4)は,間違いが多い問題です。問題の内容をよく理解しておきましょう。

 では次に,同じ必要・十分条件の問題を扱いますが,少し趣を変えて考えることにします。この章で,理解できなかった方は,ぜひ次の章で理解するようにしてください。私個人の考え方は,次の章の方が理解しやすく思うのですが,どうも人によって異なるみたいです。