§2 三角比


6.正弦定理
 三角比の決まりは

から始まり,それらを,xy 平面上で定義した

へと拡張しました。こんなに簡単な決まりから,実に多くの性質が導き出されます。その一つとして,次の 正弦定理 があります。

 では,なぜこれが成り立つか調べてみましょう。(注意! 三角形の角は大文字で A,辺は小文字で a,という具合に互いに向かい合うように位置するように配置します。このことは,今後,断りなく利用します。)

正弦定理の証明(67゚は,1例です)


 
 左の図を見てください。マウスで点 A を円に沿って動かすと,△ABC の形が変化します。まず,自分で確かめてみてください。
 
 今から,

となることを示します(つまり,a=2R・sinA となることを示します)。
 
@ A が鋭角のとき
 そこで,点 A' を(時計周りに)動かし,線分A'Bが円の中心(よく見れば円の中心が見えますよ)を通るようにしてください。すると,C=90゚ になりますね。つまり,△A'BC は直角三角形となります(なぜ,斜辺が円の中心を通る時,直角となるのかということは,中学校で学習しましたので省略します)。この時,辺 A'B は円の直径(=2R)となることに気がつきます。そこで,この直角三角形 △A'BC に着目しますと,

が成り立ちます。一方,円周角は等しいということより,A'=A なので,

となり,上式が証明できました。
 
A A が直角のとき
 次に,A=90゚ のときを考えましょう。上の図では表すことができませんが(ただし,C では可能です),線分 BC が円の中心を通るときを考えれば簡単ですね。この時,A=90゚ となる△ABCとなります。よって,a=2R となり, sin90゚=1 であることを考えると,

が成り立ちます。
 



B A が鈍角のとき
 では,A が鈍角となる場合を考えます。この時も,上の式が成り立つことを示します。右の図のように鈍角三角形A'BCをとりますと,点 A を回転させることにより,直角三角形A'BCができます。この時,四角形ACA'Bは円に内接していますので,

となります。このことは,上の図でも確認できます。一方,@より a=2R・sinA' となるので,

となります。ここで,ややこしそうな式

の変形が出てきました。このことについては,次の「7 余弦定理」の「まとめ3」で述べます。どうしても,気になる方はここをクリックして下さい。
 これらのことは,B,b および C,c についても言えます。したがって,三角形 ABC において

が成り立ちます。

 では,この定理を利用して,いくつか問題を解いてみることにしましょう。



例題8 △ABC において,その外接円の半径を R とする。a=10,A=45゚,B=60゚ であるとき,b と R を求めよ。
[解答]正弦定理より

したがって,

また,外接円の半径 R は

このことより, となる。
 
どうですか。結構理解すれば簡単ですね。もう一題,例題を解いておきましょう。
 



例題9 △ABC の外接円を R とし,a=6,A=45゚,C=60゚ であるとき,c と Rを求めよ。
[解答]正弦定理より,

なので,

となる。また, なので, となる。
では,次の練習問題に挑戦してみましょう。
 
練習問題7 △ABC の外接円の半径を R とするとき,次の問いに答えよ。
 

(1) a=1,,B=135゚ のとき,A と R を求めよ。

 

 
(2) a=R のとき,A を求めよ。

 


 もう一題,練習しておきましょう。

ワンポイント
a:b;c=a':b':c'
のような式を,連比
言って,一般に,
整数 k(≠0)と置き,
a=a'k, b=b'k, c=c'k
として用いられます。



練習問題8 △ABC において,a:b:c=2:3:4 のとき, の値を求めよ。

 正弦定理の応用,理解できたでしょうか? 練習問題8では,連比を用いた問題となっています。このような問題は,ワンポイントで書かれた方法で解くことが定石ですから,覚えておくと便利です。次は,余弦定理です。一つずつ手堅く理解していくことにしましょう。あくまで,「あせらず,ゆっくりと」です。