§2 三角比


2.鋭角の三角比
 ここでは,前の章で説明した三角比の定義だけでは,まだ理解できないと思いますので,いろいろな三角形を用いて三角比の定義の理解を深めていくことにしましょう。そこで,もう一度,三角比の定義のおさらいをしてきます。

定義1 (鋭角の三角比)


 △ABC において,三角比を次のように
定義します。

左の △ABC の中のどこに t,s,c が潜んでいる
のか分かりますか?



 上の定義を見ながら,正接(tan),正弦(sin),余弦(cos) の比を求めていくことにしましょう。

三角比養成マシーン



 左のアニメーションを見て下さい。いろいろな三角形が現れてきます。適当なところで,「停止」ボタンを押して下さい(中には,三角形の辺の長さが見えにくいものがありますのでその時は,もう一度「開始」ボタンを押して,次の三角形を用いてください)。

 次に,上の定義と見比べて,三角比を求めてみましょう。そして,自分なりの解答が求められたら,解答ボタンを押してみます。初めのうちは,頭がこんがらがってすぐに求めることができないかもしれません。求めるコツは,最初は頭の中で,与えられた直角三角形を

置き直し,三角比の定義を当てはめます。あせらず,この養成マシーンで何度も練習することにより,すぐに求められるようになります。

例題1 下の図において,sinθ,cosθ,tanθ の値を求めよ。

ワンポイント
「θ」はギリシャ文字で,
シータと呼びます。これ
から,角度などで用い
られますから覚えてお
くことにしましょう。



(1)

(2)

(3)



 

 
[解答]

これからも分かるように,△ABCにおいて,

ということが言えます。では,このことを用いて次の例題を解いてみましょう。

関数電卓




例題2 左図のような木の高さ AB を測るため,木の根もとBから10.0m離れた地点Cで,木の先端Aを見上げる角を測ったところ,24゚であった。

 このとき,右の関数電卓を用いて,木の高さABを求めよ。(ただし,asin,acos,atan は角に対する三角比を求める作業の逆,つまり,三角比に対する角度を求めるとき用いる関数で,順にアーサイン,アークコサイン,アークタンジェントを意味します。)
[解答] AB=10×tan24゚=10×0.4452≒4.452(m) となります。まだ,この式になれていない方は,次のように考えて下さい。 となるので,AB=10×tan24゚ が導かれます。

 上の考え方はよく利用されますので,まとめておくことにしましょう。

まとめ1 (鋭角の三角比)
  



 実際に,三角比を利用するとき,定義1の形よりもまとめ1の形で用いられます。では,ここで,まとめ1を用いて練習問題を解くことにしましょう。
  


練習問題1 ある建物の高さを測るため,その建物から 80.0m 離れた地点で,高さ 1.2m の位置から建物の上端の仰角を測ったところ 35゚ であった。建物の高さはいくらか。(関数電卓を用いて,解きましょう。) 





ワンポイント 仰角(ぎょうかく)…水平面から上の方に測った角度 俯角…水平面から下の方に測った角度




練習問題2 右の図において,PQ の長さを求めよ。




 
 
 




練習問題3 右の図のような,AB>AC,BC=25,AD=10 であるような直角三角形 ABC について,
(1) BD,CD の長さを求めよ。
(2) cosθ の値を求めよ。

 
 
 



 いかがでしたか。頭の中が,直角三角形でいっぱいになりました。しかし,これが三角比の基本的な事柄なので,ゆっくりと慣れていきましょう。気がむけば,いつでもここに戻って,三角比養成マシーンを用いて練習しましょう。
 
 特に,三角比の定義は利用できても,まとめ1

の公式が利用できない場合が多いので,頭の中で,この図形的関係をイメージして,意識的に利用することにしましょう。次の章では,鈍角の三角比へと発展していきます。では,次の章へ行くことにしましょう。