§4 確率
 
2.確率の基礎
 
 この単元では,実際に確率の計算を行なってみることにしましょう。
 



 ここでは,§3 個数の処理の1.集合の表現方法で学習した,集合の要素の個数を用いて考察していくことにします。「ああ,なんかそんなのあったなー」という人は,「集合の要素の個数」をもう一度見直しておきましょう。
 
 ある試行において,以後,全事象を とし,各根元事象は同様に確からしいとします。
 

 すると,この試行において,起こりうる全ての場合の数は,n() に等しく,事象 A の起こる場合の数は,A の要素の個数 n(A) に等しくなります。したがって,P(A) は

となります。要するに,乱暴な言い方をしますと,今まで学習してきました順列・組合せを用いて,事象 A の要素の個数と,全事象 の要素の個数を求め,その比(分数の形ですが)を求めればよいということです。よって,確率の計算の中身は,今までの順列・組合せの考え方と同じだと思って下さい。それでは,一つ例を用いて説明することにしましょう。
 
例1 赤玉3個,青玉2個入った袋から3個の玉を取り出すとき,赤玉1個と青玉2個である確率を求めることにしましょう。
 



 まず,

とします。すると,それぞれの事象の個数は,

となります。したがって,袋の中から3個取り出したとき,赤玉1個,青玉2個である確率 P(B)は

となります。上の絵を見て下さい。具体的な事象が書かれてあります。ボタンを押すことにより,それを確認できます。取り出した3個の玉の色が,全て赤色の事象を A ,赤玉2個,青玉1個の事象を C としており,それらの確率が下の黒板に現れますから確認して下さい。なんとなく,これから学習する確率とはどのようなものか少し理解できたでしょうか? いくつか同様の問題を解いてみましょう。
 
例題1 2個のさいころを,同時に投げる試行において,次の事象の起こる確率を求めよ。
(1) 目の和が6である (2) ともに奇数の目である

さいころ2個投げたときの全事象



[解答]そんなに大変でありませんので,全事象を書いてみますと,右の表になります。この表より,
(1) 目の和が6になるのは,(1,5),(2,4),(3,3),(4,2),(5,1) の5通りなので, となります。
(2) 2つの目がともに奇数となるのは,9通りなので, となります。
 
例題2 2枚の硬貨を同時に投げるとき,表と裏が1枚ずつ出る確率を求めよ。


[解答]このとき,2個の硬貨を区別し,硬貨1と硬貨2とすると,左のように全事象は4通りとなります。
 すると,表と裏の出る事象は,2通り。したがって,求める確率は, となります。
 
 これから,新しく出てくる確率用語を説明します。おもしろくないかもしれませんが,少しの間がまんして下さい。
 
 まず最初に,確率の一番基本的なことがらを挙げておきます。上の例からも分かるように,一般に次のことが言えます。

上の(1)は,事象は全て集合の形で表現することが可能である,ということを言っています。したがって,集合のところで学習した他の性質も事象に適用することができます。次に,その性質が根底にあることを知りながら,それと対比し一挙に紹介してみましょう。
 

集合と確率(事象)の対比

集 合

確 率




要素を一つも含まない集合

空集合 φ




決して起こらない事象和事象

空事象 φ





いわゆる全体の集合

全体集合




起こりうる場合を全体の集合を

全事象





A∩B:AかつB

どちらにも共通に
する要素全体の集合
 
共通部分




2つの事象A,Bに
対し
Bがともに起こる事象
 

積事象




A∪B:AまたはB

少なくとも一方に属
する要素全体の集合
 
和集合




2つの事象A,Bに
対し
またはBが起こる事象
 

和事象




Aに属さない
要素全体の集合
 

補集合 




全事象 に対し,
事象 A が起こらない事象
 

余事象 


 
以上,集合と確率で用いる用語を対比しました。本当によく似ていますね。というのは,先にも述べましたように,「集合」と「事象」の概念がとてもよく似ているからです。他にも,次のような関係式がありました。

これらの式において,全事象を ,2つの事象をA,Bとし,両辺を全事象の数 n() で割ってみると,

 
したがって,次の関係式がえられます。


1.では,事象 A,B を全事象 の部分集合と考え,A∩B=φ としています。このようなとき,2つの事象 A,B は同時に起こることが決してない と言えます。これを,事象 A,B は互いに排反(はいはん)である,または,排反事象である といいます。つまり,1.は次のようになります。

 これで,もう言葉の紹介は終わりです。一度,読んだだけでは,きっと覚えられないと思うので,のんびりと暇なときに見直すとよいと思います。次は,練習問題を中心に行なっていきます。その時,また,ここで学習した言葉が出てきますので,今回分からなかっても次第に分かるようになりますから心配しないで・・・。あきらめないことです。