§4 確率
 
4.確率の計算(2)
 
 この章では,より現実的な確率を求めることにします。そこで日常よく行われるくじ引きについて,考察することにします。くじ引きを行なうとき,「いつ引くのが一番得か」議論されます。その確率を求めることから,始めることにしましょう。
 



例1 10本のくじの中に,2本当りのくじが含まれています。このくじを,A君,B君,C君 の3人がこの順で,1本ずつくじを引くとき,それぞれの当る確率を求めることにしましょう。
 
[解答] 10本のくじに番号をつけ,仮に,1番と2番が当たりくじであるとします(当りの番号は,どの番号でもかまいません)。A君,B君,C君の3人,この順でくじを引きますので,順列で考えることにします。
 
 まず,全事象を考えますと,

となります。
 


 次に,A君が当たりくじを引く確率を求めます。A君が当たりくじを引く場合の数は2通り,その時,B君,C君は9本の中から2本(これは当たりでも,はずれでもよいことに注意して下さい)引くことになります。よって,B君,C君の順に引く場合の数は,

となります。したがって,A君の当る確率は,

となります。次に,B君の当る確率を求めることにします。この時,A君,C君は当りであろうがはずれであろうがお構いなしで,B君さえ当ればよいと考えます。したがって,B君の当たりくじを引く場合の数は,2通りです。あと残りの2人の場合は,

となります。これは,全くA君の求めた値と同じとなります。B君の当る確率の求め方と同じ考え方で,C君だけ当り,残りの2人はどうでもよいという考え方で,C君の当る確率を求めますと,

となります。これらのことをまとめますと,順序に関係なく当たりくじを引く確率は一定となることが分かります。要するに,最初に引いても一番最後に引いても当る確率は同じであることが分かります。

 現実には,順番にくじを引くので,B君はA君がくじを引いた結果を知ってしまいます。その情報を知ったとき,B君の当る確率はどのようになるのでしょうか? その時,A君が当たりのくじを引いたときと,はずれのくじを引いたときによってB君の当る確率は異なってきます。

となります。このように,2つの事象(条件)が与えられることによって,B君の当る確率は異なってきます。この確率のことを,条件付き確率 と呼び,詳細は「数学B」で学びます。この条件付き確率は,事象1,事象2が起こった時の確率なので,それぞれ起こる確率を掛けB君の当る確率を求めると,

となり,上の結果と同じ値になります。

練習問題4 上の例題において,引いたくじを戻すとき,A君,B君,C君の当る確率を求めよ。

 


 上の練習問題1において,3人別々の人が引いていますが,1人が同一の試行を3回行なうことと同じであることが分かります。このように,一般に,2つの試行 T1,T2 において,一方の結果が他方の結果に影響をおよぼさないとき,これらの試行 T1,T2独立である といいます。また,T1,T2 ,T3,・・・ を1組にした試行を,独立試行 といいます。
 

5回の試行は独立?



 下のもぐらたたきゲームは,5回もぐらをたたけます(スターとボタンを左クリックし,右の木づちをドラッグし,もぐらが出てきそうな所へ置いて下さい)。たたけた回数が,右下へ出てきます。この5回の試行は,それぞれ独立となります。次の例で,独立についてもう少し詳しく説明しましょう。
 
 今2つの試行を,

と定めます。そして,この2つの試行を合せた試行をTとしますと,TはT1とT2で表され,T=(T1,T2)となります。このとき,

である確率を求めましょう。そこで,



とするとき,P(A∩B)を求めれば良いわけです。そこで,上のことがらをまとめ,表にしますと右のようになります。このとき,全事象 の個数は,表から 2×6=12個 となります。また,A∩B の事象は,ピンク色の所で3個となります。よって,P(A∩B) は,

となります。ここで,P(A),P(B) を考えてみますと,

となり,これより,P(A)・P(B) を考えますと,

となります。これより,独立試行のとき,P(A∩B)=P(A)・P(B)が成り立つといえます。まとめておきましょう。

 次の例で,理解をさらに深めましょう。
 
例2 1個のさいころを2回投げる試行において,1回目は5以上の目が出て,2回目は奇数の目が出る確率を求めましょう。
 この2回の試行は,互いに影響を及ぼさないので独立です。そこで,

として,P(A∩B) を求めます。したがって,

となります。
 
 それでは,いくつか練習問題を行なってみましょう。
 

練習問題5 1個のさいころを3回投げるとき,1回目は素数の目,2回目は6の約数,3回目は2以上の目が出る確率を求めよ。

 


 少し応用が入ります。がんばって下さい。
 

練習問題6 赤玉2個と白玉3個が入っている袋から,玉を1個取出しそれをもとに戻す。この試行を3回繰り返すとき,次の確率を求めよ。
(1) 3回とも白玉が出る確率
(2) 少なくとも1回赤玉が出る確率

 
 
 

 

練習問題7 4本の当たりくじの入った12本のくじがある。1人が1本引いたあとでもとに戻し,次の人が1本引く。この要領で,A,B,C の3人がこの順番にくじを引くとき,次の確率を求めよ。
(1) Cだけが当りくじを引く確率
(2) 少なくとも1人は当たりくじを引く確率

 
 
 
 
 


 独立とは,名前の通り,それぞれの試行が前の試行に無関係の試行でであると受け取ればよいと思っていて下さい。かえってこのような問題の方が,簡単かもしれませんね。次に,この独立試行を上のように何回か繰り返す 反復試行 ということについて考えてみることにします。あともう少し・・・。